【 るいの1日 : 1日目 ちっ、みられたか 】
作者:てっそ

<概要>
 今日も美味しそうなクッキーや可愛いお人形さんをもらったよ☆
 みんないつもありがとう♪

<登場人物> (男:4 女:3 不:0)
 ・渡辺 るい(11/♂)
  小学5年、校内の有名人。
  色白でふわふわ天パの愛くるしい姿。

 ・鍋山 浩一(12/♂)
   小学6年、バスケ部。
   裏表のない性格。

 ・南部 保則(12/♂)
  小学6年、サッカー部(キーパー)
  浩一の友達。
  体が大きく小太り。

 ・女子生徒1
 ・女子生徒2
 ・女子生徒3
 ・先生

<配役>
 渡辺るい:
 鍋山浩一:
 南部保則:
 女子生徒1:
 女子生徒2:
 女子生徒3:
 先生:




○小学校・廊下(放課後)

女子生徒たちが、るいを取り囲んでる。
001 女子生徒1「るい君、今日調理実習でクッキー作ったの。良かったら食べて?」
002 女子生徒3「あたしのもー」
003 女子生徒2「あとあと、このぬいぐるみあげるっ」
004 るい「(にっこり笑って)うわぁ、美味しそう。貰っちゃっていいの?」
005 女子生徒1「うん」
006 るい「それにこの人形も可愛いね。自分で作ったの?」
007 女子生徒2「そうなの。るい君そういうの好きって聞いたし、上手に出来たから」

×  ×  ×

同じ廊下の延長線上にいて、るいのやり取りを見ている。
008 浩一「なぁヤス、あの騒がしいのなに」
009 保則「るい君がいるんじゃない?」
010 浩一「るい?」
011 保則「え、浩一くん知らないの? 5年のるい君のこと」
012 浩一「有名なのか?」
013 保則「(呆れ気味に)浩一くんはホント疎いよね。いい、あれは5年生の渡辺るい君。色白でふわふわの天然パーマを持ち、人懐っこい性格から女子からも男子からもに大人気なんだよ(後半興奮気味)」
014 浩一「(興味無さそうに)へぇ。ヤスはホントそういう事には詳しいよな」
015 保則「るい君の事は誰しも知ってるよ。むしろ浩一くんが知らなかったことにびっくりだね」
016 浩一「大人気ねぇ」

×  ×  ×

SE『チャイム』
017 女子生徒1「あ、あたしもう帰らなきゃ」
018 女子生徒2「行こ」
019 女子生徒3「感想教えてねー」
020 るい「大事にするよ(にっこり)」

SE『走る×3』

バタバタと去る女生徒たち。
021 るい「(姿が見えなくなって)…はぁ」
022 るい「(視線に気付いて)ん?」

×  ×  ×

保則、目があったのに気付いて嬉しそうに、小さな声で
023 保則「あ、こっち見た! おーい」
024 浩一「やめろって」


○同・体育館内(夕)

バスケクラブが練習をしてる。

SE『キュッキュッと靴の鳴る』
025 先生「ラスト一本!」
026 浩一「はい」
027 先生「よし、5分休憩」

浩一、汗をタオルで拭きながら風に当たろうとに扉に近づく。
028 浩一「あっち…。ん?」

一人で歩いてるるいを見つける。


○同・焼却炉(夕)

るい、貰ったクッキー等持って人気のない場所へ。

SE『歩く音/土』
029 るい「今日はクッキーとぬいぐるみかぁ」

×  ×  ×

浩一、後をつけてる。

SE『歩く音/土』
030 浩一「あいつ何やってんだ? こっちには焼却炉しか―――」

×  ×  ×
040 るい「僕がこういう人形好きだって、一体誰が行ったのかなぁ(あくまで可愛く)」

焼却炉に到着。火の入ってる炉を開ける。

SE『歩く音/止』

SE『焼却炉を開ける』
041 るい「僕こういうの…(薄ら笑いを浮かべて)はっ、大っ嫌いなんだけど」

るい、貰ったものを焼却炉に捨てる。

SE『捨てる音』
042 浩一「なぁ(こんな所で何してるんだ)」

SE『燃える音』
043 浩一「え…」
044 るい「!!」

SE『ジャリッっと振り返る音』
045 るい「……こんにちは(にっこり) さっき廊下にいたよね」
046 浩一「あ、ああ。ていうかお前今―――」
047 るい「ちょっと“ゴミ”を捨てに来ただけだよ?」

浩一、駆け寄って焼却炉の中を見る。

SE『走る』
048 浩一「これさっき貰ってたやつだろ」
049 るい「あれ? 見えてたの? すごぉい、目がいいんだねぇ(無邪気に」
050 浩一「なんで捨てんだよ、嬉しそうにしてたじゃん」
051 るい「えー? だから言ったでしょ? “ゴミ”を捨てに来たって(ニコニコ」
052 浩一「ゴミって…あげた奴の気持ち考えろよ。悪いと思わないのか」

るい、笑顔がふっと消えて。
053 るい「…はぁ。さっきからなんなの? 鬱陶しいんだけど」
054 浩一「えっ」
055 るい「“ゴミ”を“ゴミ”って言って何が悪いんの? 掃除の時間に出るアレはゴミじゃないの? 資源なの? 必要ないものはゴミでしょ? 大体さぁ、ちょっと手振ったくらいで馴れ馴れしくしないでくれる? そうい うの迷惑なんだよね(まくし立てる様に)」
056 浩一「え、あ(困惑)」
057 るい「もういいかな」

るい、歩き出すが、ふと立ち止まって振り返る。

SE『歩く音』

SE『止まる』

SE『ジャリッっと振り返る』
058 るい「(ぱぁっと笑いながら)そーだ、名前教えてくれない? 僕は渡辺るい。5年3組だよ」
059 浩一「…浩一。6の1」
060 るい「浩一くんだね。じゃあまたね、浩一くん(ニコニコ)」

SE『歩く音(FA』



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